双六小屋ベースで黒部源流
4年前のGWに薬師岳から黒部源流を経て新穂高までの新日本のオートルートとも言うべきスキー縦走をしたことがあるのですが、黒部源流周辺へは再び訪れてみたいものだと思ってはいたものの、やはり北アルプスの中でも奥まった所でそう簡単には行けない所なのです。しかし、登山者のためにGW中だけ宿泊の便宜を図ってくれている双六小屋を使えば、この周辺へも比較的容易に訪れることができるのでは?と、このGW後半の連休に双六小屋ベースでの黒部源流周辺を巡る山スキーツアーを計画しました。

山 名 双六岳(2860.3m)、三俣蓮華岳(2841.2m)
場 所 北アルプス、岐阜県、富山県、長野県の県境付近
日 時 2005年5月3日(火)〜5月5日(木)
コース 5/3 新穂高→わさび平→大ノマ乗越→双六谷→双六小屋(泊)
5/4 双六小屋→三俣蓮華岳→黒部源流→岩苔乗越→三俣山荘→弥助沢
→モミ沢→双六小屋(泊)
5/5 双六小屋→双六岳→双六谷→大ノマ乗越→わさび平→新穂高
メンバー TAKAGIさん、BAKUさん、oba(3名
天 気 5/3 快晴  、  5/4 快晴  、  5/5 快晴

(サムネイル画像をクリックすると拡大画像が表示されます。)
(写真の一部は、BAKUさん提供のものを使用させていただきました。)


5/3
■行動時間
06:30 新穂高    07:55 わさび平小屋    10:15 夏道分岐    12:35 大ノマ乗越    13:40 双六谷谷床
15:30 双六小屋

大勢の登山者が準備している中、空は雲ひとつない快晴の青空のもと新穂高の駐車場を出発。。左俣谷林道は、スキーを担いだ人がけっこう多い。穴毛谷出合を過ぎたあたりから道に雪が出始め、わさび平小屋の少し手前あたりから雪が切れなくなった。

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わさび平小屋でスキーを下ろす
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大ノマ乗越はまだまだ遠い
わさび平小屋でスキーを下ろしシール歩行。林道を右に分け小池新道に入り、歩きにくいデブリ帯を越えてやっと鏡平への夏道との分岐。ここで一息入れるがまだまだ大ノマ乗越ははるか先。

登るに連れて傾斜は増しジグザグ登高。睡眠不足と少し高度障害が出ているのか、頭がボーッとする。太股まで攣りはじめ、キックターンの度に一息入れないと足が進まない。喘ぎ喘ぎの苦しい登高、背後に見え始めた槍の穂先を励みに登り続けてやっとのことで大ノマ乗越到着。

ビール休憩&
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大ノマ乗越で槍をバックに
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やっと双六小屋が見えてきた
大休止の後ここでシールを剥がし、急斜面を標高差250m程滑り降りたところで右手にトラバース、谷床に降りる。あまりにいいお天気、時間の余裕もあるのでまたもやここでビール休憩。

気合いを入れて双六谷の緩斜面をダラダラ登るも、いっこうに高度は上がらず、小屋はまだかといいかげんいやになった頃、やっと双六小屋の屋根が前方に見えてきた。


5/4
■行動時間
06:30 双六小屋    08:30 三俣蓮華岳    09:20 黒部源流2400m付近    10:48 岩苔乗越    
11:45 三俣山荘    13:00 モミ沢出合    15:08 双六小屋

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右手に鷲羽岳を見ながらトラバース
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稜線に出たら黒部五郎岳がお出迎え
今日も快晴。今回のメイン、黒部源流へのツアー開始。小屋での朝食を食べてすぐにシール登高で出発。双六岳の東側斜面をトラバース気味に巻きながら丸山(2854mピーク)との鞍部付近で稜線に出る。丸山を超えて稜線伝いに三俣蓮華岳に向かう。丸山を超えると、黒部五郎岳、薬師岳方面の展望が素晴らしい。

三俣蓮華岳頂上からは、南側斜面を巻き気味にピークの東側に出ると、広大斜面が黒部源流方面に広がっていた。歓声を上げて黒部源流への滑降開始。なんの障害物もない、どこをどう滑ろうと自由自在、素晴らしい山スキー天国。アッという間に標高差450m程滑り黒部源流2400m付近の台地に到着。

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三俣蓮華岳登頂
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三俣蓮華岳頂上直下の大斜面を滑る
ここでしばし休憩のあと、シールを装着、ザックをデポして黒部川の源頭である岩苔乗越まで空身で登る。ほとんど直登できる緩やかな斜面を登るとまもなく岩苔乗越。乗越の反対側に広がる岩苔小谷から高天原へと続く広大斜面の初めて見る景色に感動。いつかスキーでこちら側へも行ってみたいものだ。

シールを剥がしほぼ往路沿いに滑る。緩やかな斜面の気持ちのいい滑降。アッという間にザックのデポ地に到着。再びシールを装着して三俣山荘に向かい、わずかな登りで山荘に到着、ここで大休止とする。風が強いので小屋の裏側で風を避けてのんびり休憩。
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眼下に見える黒部源流に向けてGO!
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岩苔乗越への斜面を目指す
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黒部源流でのんびり休憩

休憩後、三俣山荘裏側の弥助沢源頭に立つ。これから滑る弥助沢からモミ沢出合付近へのルートが手に取るように見える。午後になり腐り気味の雪ではあるが弥助沢の滑降開始。沢沿いに快適滑降を続けると傾斜が緩くなり、やがて水流も現れ、流れの右岸側をスキーを滑らせてモミ沢出合に到着。ここでは先行者が何名か休憩、登りの準備中であった。
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岩苔乗越に登り着く
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岩苔乗越からの広大斜面を滑る
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双六小屋へ向けてモミ沢を登る

あとはモミ沢を登り双六小屋へ戻るのみ。まだ時間も早いのでまたもやのんびりと休憩した後、シールを装着して、小屋でのビールを楽しみに標高差500mを登り返す。狭い沢は上部へくるほどに傾斜を増し、稜線近くになってきたら右手寄りに登って行ったら双六小屋の屋根が見えてきた。小屋へ入り本日のツアー大成功を祝してビールで乾杯。冷たいビールが腹に染みわたる!


5/5
■行動時間
06:45 双六小屋    08:00 双六岳    08:40 双六谷二俣    10:00 大ノマ乗越    11:35 わさび平小屋
12:55 新穂高


双六岳への稜線から槍を望む

双六岳登頂
朝、小屋を出て双六岳を目指す。小屋横すぐの斜面を登っていったら上部でハイマツ帯に出てしまい、やむなくスキーを担いで頂上へ。ここは山腹の雪の斜面をシールで巻き気味に登り頂上へ出た方が正解だったか?

双六岳頂上からすぐ双六南峰との間に広がる双六谷カールに飛び込む。快適ザラメの広大斜面を飛ばし小屋からの谷との二俣に出て、2200m付近でトラバース気味に大ノマ乗越の下に到着。ここから大ノマ乗越へ向けての最後の急登。ここはあっさりスキーを担いで直登する。

1時間弱の急登に喘ぎながら大ノマ乗越へ登り着く。いよいよ今回のツアーもフィナーレ間近。雪の続く限り最後の大滑降、と行きたいところだが、雪はかなり腐り気味であまり快適とは言えない。高度を下げると雪面の溝やデブリ跡で滑りにくいったらない。足が疲れるので適当に休み休み最後の滑降を楽しむ。


槍を正面に見ながら
双六谷カールを滑る

大ノマ乗越から最後の滑降
デブリ帯を抜け林道に出てスキーを漕ぐとわさび平小屋へ到着。しばらく雪を拾いながら林道を降りたが、雪が切れたところでスキーを担ぎ、あとはダラダラと観光客がいっぱいの新穂高へと下山した。

今回の山スキーツアーは、黒部川、信濃川、神通川の3大水系の源流を巡るという意義深いツアーでありました。この一帯は文字通りの山スキー天国と言われるだけのことはあります。双六小屋という営業小屋のおかげでかなり容易に行くことができました。また3日間快晴が続くというこれ以上望みようのない好天に恵まれ、計画通りのコースを走破することができ、参加者全員本当に大満足のツアーとなりました。

END