山スキーへの招待 |
■山スキーとは ■山スキーヤーになるために |
■アルペンとテレマーク ■山スキーに関する参考文献 |
■山スキー入門(道具編)のページ |
■山スキーとは
度胸一発、急斜面にスタート
山スキーとは、スキーを使って山を登り自然の山をスキーで駆け巡る、雪山をフィールドとした遊びであります。
スキーはゲレンデで決められたコースを滑るためだけのものではありません。そもそもゲレンデというのはスキーを練習するための場所にすぎません。今のスキーは、遊園地化されたゲレンデの中で遊ぶことだけが目的化されてしまっているのにすぎないのです。
アルペンスキーとは、言葉の真の意味では山岳スキーという意味です。アルペンスキーの開祖といわれるオーストリアのツダルスキーの手によるアルペンスキー最初の教程の書名は、「山岳スキー滑降術」というのは歴史上の事実なのです。
スキーとは本来雪のフィールドを自由に駆け巡るための道具であったのです。スキーを使えば、ゲレンデの決められたコースを滑るだけでなく、自由に雪の山を駆け巡ることができます。
スキーが好きで、山登りが好きな人ならぜひ山スキーにチャレンジして下さい。
山スキー、今のはやり言葉で言えば、バックカントリースキー、オフピステスキー、と言ってもいいです。山岳スキー、アルパインスキー、まあ、なんと呼んでもいいですが、スキーは本来ゲレンデの中でするだけのものではないという、当たり前のことに気が付いたあなた!! ゲレンデを飛び出して広大な雪山のフィールドに踏み入ろうではありませんか。
スピードに乗ってターンを決める
■アルペンとテレマーク
近年の山スキー、バックカントリースキーには、大きく分けてアルペンとテレマークという二つの潮流があります。そしてそれぞれに様々なバリエーションがあって多様なスタイルがあります。
■アルペンスタイル山スキー
アルペンスタイル山スキーは、広く一般にアルペンスキーと言われているスキーを使った山スキーで、狭義の意味で使われる「山スキー」というのは、このスタイルを指します。
いわゆるアルペンスキーに歩行と登高のモードの機能が付加されたビンディングを用い、滑降には踵を固定した普通のアルペンスキーの滑降技術がそのまま使えて、その登高、滑降機能は極めて高く、急峻な山岳地帯でのハードなスキーには最も適していると言えます。
反面、日本的ななだらかな山を軽快に駆け巡る、というのには、ちょっと道具が重厚に過ぎるというきらいがあるのは確かです。しかし、北アルプスなどの急峻な山岳地帯でのスキー登山では、やはりこのスタイルの独壇場と言わねばならないでしょう。
■テレマークスタイル山スキー
テレマークとは、ノルディックスキーで脚を前後に開いて滑る技術です。(スキージャンプ競技で着地の時にする、脚を前後に開いたスタイル、あれがテレマークスタイルです。)これに着目したアメリカ・コロラドの若いバックカントリースキーヤー達が、それまで雪原を歩き走るためのスキーであったノルディックスキーでダウンヒルを楽しもうと、ノルディックの板にエッジを付け、道具を改良し生み出されたのがテレマークスタイルの山スキーです。
踵を固定しないテレマークスタイルでの滑降スタイルが特徴で、近年その愛好者は増えてきています。
初期のテレマークはそのシンプルな道具で軽快に山野を駆け巡るというものでした。しかし近年、滑降重視、山岳滑降にも耐えうるものということで、ブーツのプラスティック化、スキー板のワイド化の傾向は著しく、どんどんアルペンに近づいてきつつあり、その軽快なスタイルが若干薄れてきているのはいかがなものでしょうか?
私OBAが今まで実践してきた山スキーは、アルペンスタイルの山スキーです。
テレマークスタイルには、興味はありますが、今更この年で、また一からテクを覚え直すのにはちょっとしり込みをしてしまいます。(^_^)
だから、私はテレマークのことはほとんど知りません。テレマークについてはそれについてもっと詳しく取り上げているHP等に譲ることとして、今後このページや関連ページで、山スキーを取り上げるときは、その山スキーとは「アルペンスタイル山スキー」のことである、と思ってください。
■山スキーヤーになるために
雪山のフィールドに飛び出そう、なんて書いてしまったけれど、ゲレンデを一歩外にでれば、そこは厳しい自然の雪山の世界です。ゲレンデの延長とは全く違う自然の掟が支配する世界であることを謙虚に見つめなくてはなりません。
山スキーとは雪山登山の一形態であるということをはっきりと認識しなければなりません。ですから山スキーヤーたらんとする者は、スキー技術のみならず、雪山登山の技術、経験も兼ね備えなければならないのです。
安易な考えで雪山に踏み込むのは、山のことを何も知らない無知な若いスノーボーダーがパウダーを求めて新雪の急斜面に入り込み、雪崩でその命を落としている、というような近年多発している事故を例に見るまでもなく、自殺行為であります。
以下、思いつくままに、山スキーヤーになるために必要なことを上げてみます。もちろんこれら全部を私自身が備えているというわけではありません。自戒の意味も含めていくつか上げてみます。
■第1 雪山の知識
雪山では当然のことながら、パートロールもいなければレストハウスもありません。雪山の気象、雪と雪崩の知識、地形や植生、等、雪山そのものの知識がなければなりません。
■第2 雪山での行動技術
雪山での地図の読み方、安全なルートの取り方、斜面の登高技術、アイゼン・ピッケルの使い方、ザイルでの確保のし方、緊急時のビバーグ技術、等々、雪山では通常の登山とは違う、身に着けておかねばならないことがいっぱいあります。
■第3 スキー技術
ここへきてやっとスキー技術です。最低でもSAJバッジテスト2級ぐらいはないと、ちょっとしんどいです。ゲレンデでいくら華麗な滑りができても山では通用しません。山には整備された斜面などというものは絶対にありません。どんな斜面でもどんな雪質でも対応できる強いスキーが要求されます。スキー技術の基礎的な練習はゲレンデでするのですが、普段から、踏みならされていないコース外を滑る練習をする等して山スキーの滑降技術を身に着ける必要があります。
■第4 体力
雪山を登り滑るためには当然のことながら体力がなければなりません。スキーを使って雪山を登ることは、最近の山スキー道具の進歩により、ワカンやツボ足に比べてかなり少ないエネルギーで登ることができます。しかし滑りを楽しみ軽快に山で行動するのにはやはり余裕のある体力が必要です。特にザックを担いでスキーをするための強い筋力が要求されます。
■第5 良き仲間
山スキーは、よほどの熟達者以外、単独行動は慎まなければなりません。骨折とまではいかなくても捻挫しただけで山では行動不能になります。そのためには良き仲間が必要です。万が一遭難してしまったときの救助体制も普段から考えておかなくてはなりません。
山スキーヤーたらんとする者は、こうしたことを常に念頭に置き、普段からトレーニングに励み自己研鑽に努めなくてはなりません。(私自身耳が痛い (^^;) )
ここまで読んで、山スキーに興味を持ったあなた、次は、いよいよ山スキー入門の扉を開いて下さい。ただしここでの入門の手引きは、あくまで私の知っている範囲でのサワリでしかないので、もっと詳しくは、後に上げる参考文献を参考にするなどして、充分に経験を積んだ指導者の指導を受けること等が必要であると考えます。
■山スキーに関する参考文献
山スキーに関する参考文献をいくつか上げてみました。
ひょっとすると今は入手できないものもあるかもしれません。ご容赦下さい。
■山スキー入門(道具編)のページはこちら
広大な斜面を独り占め