9/22  弥山川から狼平へ


行動時間
06:10 出発  06:45 熊渡出合  07:20 白川八丁河原  07:55 ガマ滝  09:10 一ノ滝
10:30 双門ノ大滝滝見平  11:15 トサカ尾ノ肩  12:50 河原小屋  14:05 桶ノ谷出合
15:00 狼平


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林道入口にある案内板
未明4時に家を出て車を走らせ天川村川合に到着。川合からミタライ渓谷へ向う道路脇の空地に車を止めて軽く朝食、準備をして出発。空は曇っていたが天気が良くなることを期待して車道をしばらく歩いて熊渡出合から弥山川沿いの林道に入る。林道入口には弥山川ルート(双門コース)の案内板がある。

林道から河原へ降りる道をたどり白川八丁河原に到着。
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水流のない白川八丁
ここは水流は完全に伏流となっていて流れは全く無い。ゴロゴロと石の転がる河原を歩いていくと前方に最初の滝、ガマ滝が見えてくる。上流のダムで取水されているため水量が少なくみすぼらしい滝になってしまっている。ここから左手の登山道に入りガマ滝を越えて、右手に弥山ダムを見ながら上流へ向う。川は水流が現れ堰堤を一つ越えると、左手の一枚岸の岩盤に鎖の掛けられた所に出くわす。濡れて滑りやすくなっている岩を鎖を頼りに慎重にトラバース。もうひとつ堰堤を越えて河床に降り、幕営適地の河原を左に見るところで対岸に飛石伝いに徒渉する。

このあたりから弥山川は大岩の間を水流が噛み堂々たる流れになってくる。対岸の山道をたどっていくと道が突然消えていて、ルートは河床沿いにあることを大岩に付けられた赤ペンキの目印が告げている。岩を乗越えて左岸の岩壁の基部をへつりながら進む。ここは思い切って流れの中に入ってしまえば簡単に行けるのであるが、靴を濡らさずに行こうとするとかなりきわどいへつりとなって冷汗が出るところだ。
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下一ノ滝、上二ノ滝
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一ノ滝前の吊橋
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三ノ滝
更に上に見える鉄橋の基部に向って岩を乗越えていき、そこから小尾根を乗越せば前方に双門一ノ滝、その上に二ノ滝が姿を現す。一ノ滝前のテラスを左手に降りて立派な吊橋を対岸に渡りその上にある台地で一息入れる。

ここまでは弥山川ルートのいわばプロローグで、ここからがいよいよこのルートの核心部になる。川はここからは連瀑帯となり大ゴルジュを形作っていて、ルートはこの大ゴルジュ帯を大高巻きするように右岸の痩せ尾根沿いに付けられている。空はすっかり晴れ渡り最高の天候になりそう。休憩後気合を入れて出発。二ノ滝上に三ノ滝があるが、道からは姿が見えないのでザックを置いて河床に降りて三ノ滝を見に行く。大きな釜を持った堂々たる滝だ。ここからは右手に次々と現れる連瀑帯のゴルジュを木の葉越しに見下ろしながらの垂直の梯子登りが連続する。平成11年に弥山川ルートの整備が行われたようであるが、このあたりの鉄梯子は古いままでかなり痛んでいるところもあるので慎重に行動しなければならない。

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鎖を頼りに鉄桟橋を
渡る
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鎖をつかんで
岩場を登る
足元がすっぱりと切れ落ちた岩壁に付けられた鉄桟橋を鎖を頼りに斜上すると右手が切れ落ちた岩場の下に着く。ここは以前は高度感満点の岩登りをさせられた所であるが、今は左手に新しい鎖が掛けられているのでそれほど苦労せずとも上に抜けられる。しかし万が一スリップすれば一巻の終りなので気が抜けない。岩登りに不慣れな者が同行しているときは補助ザイルがあった方がいいかもしれない。ここを抜ければ幾分傾斜が緩んだ尾根の上に上がり、岩峰を越えて少し下ると平坦な滝見平の台地に到着。
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仙人ーの大岩壁
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双門ノ大滝
足下の川には双門ノ大滝(60m)の堂々たる姿が、対岸には仙人ーの大岩壁が眺められる。本当に何度見ても凄まじい景観だ。ここで大休止。ここまでいいペースできているのでお茶を沸かしたりして行動食を食べゆっくりと休憩する。

休憩後、左手尾根を登る。しばらくは木の根をつかみ梯子を登りと急登が続くが、やがて新しい鎖の手摺が付いた遊歩道のような登山道になり、立派な鉄橋の掛ったトサカ尾根ノ肩に着く。そこにある道標がここから下降することを告げている。ここは以前は鎖にぶら下がっての急下降であったが、今は新しい鉄橋で簡単に降りられる。しかし、さっきの手摺の遊歩道といいこの鉄橋といい、なんでこんな所にだけ道を整備して作ったのか、ここまで来れる人にとってはこんな手摺や橋なんか全く必要ないと思うのだが、このような中途半端な登山道整備は全く理解しがたい。案の定、整備された道は少しだけで終りすぐに昔と同じ不明瞭なルートになる。所々ルートがわからなくなり首を傾げて周りを観察しなければならない所が何度もある。枝沢を横切りズルズルの急な泥壁を苦労して下降すると前方に流れが見えてきて、弥山川の河床に再び降り立つ。
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目覚の廊下
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河原小屋


ここからはルートはほぼ谷沿いに進むことになる。目覚の廊下の素晴しい渓谷美を楽しみながら右岸沿いにしばらく進むとこじんまりとした河原避難小屋に到着。以前は密漁者などの捨てたゴミで埋った崩壊寸前の小屋であったが、今はきれいに建替えられて一度泊ってのんびりしてみたい、という気にさせられる小屋である。
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岩を乗越え
谷中を進む
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岩魚の棲む
弥山川の流れ
飛石伝いに歩いていると足元から黒い影がサッと走る。岩魚(キリクチ)である。尺上と思われる大型のものも何度も目撃される。このあたりははっきり言って道というようなものはない。岩を乗越えて前進し、ルートを求めて飛び石伝いに何度も対岸に渡り、通過困難な悪場ではかすかな踏み跡をたどって巻き上がることを何度も繰返す。ルートファインディングにけっこう神経を使うところだ。

やがて大淵を持った小滝の前で前進不能となり周りを観察すると、ルートは右岸沿いの大岩の上に登り巻き上がるのが正しいことがわかる。慎重に大岩を登り岩の上を右岸沿いに進むと左手から桶の谷が出合う。ここまで来れば目指す狼平まではあとわずかである。もうひとがんばりだ、改めてザックのベルトを締直して前進する。

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左手大岩を登り、
岩の上を前進する
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鎖梯子の掛った
オーバーハング岩
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斜瀑に沿った
チムニー状岩を
攀じ上る
右俣谷の弥山川本谷に入り左岸沿いに進むと、鉄の鎖梯子が掛けられたオーバーハングした岩壁に突き当る。ここは鎖梯子を登って岩の上に出てもいいが、左手の斜瀑に沿ってチムニー状の岩の間を攀じ上る方が簡単に上に出られる。チムニー状岩の間をはいずり上がるようにして岩の上に出て、次に現れる右手の岩壁は、掛けられた鎖を手がかりに、岩に打込まれたアングルを足場にして慎重にトラバースする。
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鎖をつかみアングルを
足がかりにトラバース
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避難小屋の建つ狼平
左に見える滝の上を踏み跡をたどり巻き上がると滝上の穏やかな流れに降立つ。さあこれで悪場は終りだ。もう狼平は目の前だ。時計を見るとまだ14時半頃でいいペースで来ている。あまり早く狼平に着いても時間が余りすぎるので、ここで行動食を食べたりしてゆっくりとする。

休憩のあと河原をのんびりと進むとすぐに吊橋が見えてきて狼平に到着。数人の登山者が休憩していてテントも何張りか張ってある。小屋の中を見るとまだ誰もいない。とりあえずはコーヒーを沸かしてのんびりとする。やがて釈迦岳方面から縦走してきた6人グループがやって来て小屋の2階に陣取る。1階は明日釈迦岳まで縦走するという単独者と私の2人だけ、ほとんど貸切状態で快適快適。17時頃から夕食を食べてウイスキーのお湯割りを飲んだりしてのんびりしていたが、することがないので19時前には寝る体制に入ってしまった。


【9/23 狼平から八経ヶ岳ダイレクトルートへ】 に続く