9/23  狼平から八経ヶ岳ダイレクトルートへ


行動時間
06:20 狼平発  07:05 二俣  07:35 八剣谷源頭の二俣  08:20 稜線縦走路に出る
08:22 八経ヶ岳登頂  08:55 弥山小屋  09:50 狼平  12:05 栃尾辻  14:10 川合


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明け方はかなり冷え込み、シュラフカバーだけしか持ってこなかったのだが、2時過ぎ頃からは猛烈に寒くなり我慢できなくなってツェルトを引張り出して被って寝て何とかしのいだ。5時に起床、朝食、準備をして出発。

狼平から八経ヶ岳に向うのには、ここからは一般登山道をたどって弥山小屋経由で登るコースがガイドブック等に紹介されているが、私は初めてここに来たときから谷通しに登り八経ヶ岳にダイレクトに登るルート、名付けて「八経ヶ岳ダイレクトルート」をいつも登っている。谷通しに行こうとすると、朝の散歩をしていた人に出会い、「ここを登るのですか。」と怪訝そうな顔で尋ねられたので、「ここを登れば八経ヶ岳にダイレクトに出られるのです。」と答えると、不思議そうな顔をしていた。地図を見ればそれほど急斜面でもなく容易に登れるということが解るはずなのだが、誰もこのルートを知らないし登ろうともしないというのは実に不思議なことだ。こんな所にも既成の登山ルートをたどることばかりに熱を上げている巷の百名山ブームの弊害があるのではないかと思う。
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日本庭園ような
景観が広がる


途中冷たい谷の水で顔を洗って目を覚し、飛石伝いに前進する。狼平からしばらく行くと、まるで自然が作った日本庭園みたいな素晴しい景観の所に出会う。周囲は平坦な草地に囲まれていて、こんな所でテントを張って1日のんびりしたらさぞ気持いいだろうな〜、と思うが未だ実現できていない。狼平には何張りもテントを張っているのが見られるが、ここまで来てテントを張っているのを見たことが無いというのも実に不思議な話だ。

やがて弥山川源流部の二俣に出会う。左俣は池ノ谷で、登り詰めれば弥山と八経ヶ岳の鞍部に出られる。右俣は八剣谷で、登り詰めれば八経ヶ岳の頂上右手、明星ヶ岳寄りの稜線に出られる。
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八剣谷の様相
ここは右俣の八剣谷に入る。八剣谷に入ると谷は狭まり水量も減って岩の積重なったガレ谷の様相を呈してくる。何カ所か崩壊したガレ場を通過して登っていくと、八剣谷源頭の二俣に出会う。ここは左手の谷に入り更に岩を乗越えて前進すると、やがて前方がガレた岩や倒木で埋り前進するのは困難になってくるので適当なところで左手の斜面に取付く。
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左手斜面に取付く
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大峰の原始の森を
前進する


このあたりで標高1780m位といったところか。周りは苔むした倒木や鹿の糞、動物の足跡だらけのまさに大峰の原始の森の中を黙々と登り続ける。コンパスで真東に方向を見定め八経ヶ岳頂上を目指す。上へ行くと樹林が密集してきて倒木が前進を阻む。前進し易いところを探し、木の枝をくぐり、倒木を乗越え、しゃにむに登り続けてついに稜線の縦走路に飛出した。八経ヶ岳頂上のわずか右手だ。縦走路を左に登りすぐに八経ヶ岳頂上に着く。
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八経ヶ岳頂上
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八経ヶ岳から
弥山方面を望む


朝の頂上の喧噪はもう終った後のようで頂上には誰もいなかった。周りの山々は雲海の下でよく見えないが空は信じられないような青さで澄み渡っていた。何枚か写真を撮り弥山小屋へ向って下山。弥山との鞍部の古今宿跡を過ぎてしばらく登り返し、弥山小屋前に到着。小屋の前は数人の人がいるだけでひっそりとした雰囲気だった。
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弥山小屋
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ひっそりとした
弥山頂上


しばらく休憩した後、弥山頂上に寄り狼平に戻る。弥山頂上は小屋からすぐの所にあり、展望のないひっそりとした社があるだけの地味な頂上だ。弥山頂上を辞して狼平へ下る登山道をのんびりと降りる。

狼平のだいぶ手前からは新しい木の階段が作られていた。こんなものは去年来た時はなかったはずだがいつのまにできたのだろうか。本当に登山道を整備するのもありがた迷惑だ、ということが解っていないのはどうかと思う。別に岩が転がっていたり木の根が張出したりした道でもいいではないか。こんなに至れり尽せりの登山道整備ばかりするから、山小屋へ来てお風呂はどこですか、なんて尋ねてくるような登山者が来るようになるのだよ、と愚痴のひとつも言いたくなる。

狼平に戻ると、テントが二張り張ってあるだけでほとんど人がいなくなっていた。ここからは川合へ降りる道をたどって栃尾辻を経由して川合へ下山する。
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下山途中、ブナの森に
囲まれた気持のよい
ところで休憩
下山路は、途中、ブナの森に囲まれた気持のよいところもあるが、概ね展望のない樹林の中をひたすら歩くだけのウンザリするような道なので詳細は割愛。川合に着いて車道を車の所に戻って今回の弥山川ルートでの八経ヶ岳山行は無事完結した。

GWに山スキーで北アルプスへ行って以来、山釣りばかりで山らしい山は全然登っていなかったが、久しぶりの山行として弥山川を選んだのは正解だった。やはり弥山川ルートは何度来ても飽きることのない素晴しいルートだ。今回もまた、狼平と弥山小屋、下山路以外では全く人に会わなかった。9/22に弥山川ルートを登っていたのは恐らく私ひとりだけであったと思われる。ルート判断に迷ってウロウロすることが何度かあったが、元気な弥山川の岩魚たちの姿も多く見られたし、久しぶりに大峰の原始の雰囲気を堪能することができて満足の山行ができた。

END