静寂の森に感動、北股川源流から池木屋山へ |
台高山脈主脈のほぼ中央に位置する池木屋山(いけごややま)(1395.9m)は、台高の山の中ではかなり奥まった所にあるためなかなか行きにくい山です。ここに北股川源流を詰めて登るという取っておきのルートがあることを知り、いつか行ってみたいと思っていましたが、紅葉シーズンの今頃がいいのでは、と急に思い立って行くことにしました。期待に違わず、谷沿いの静寂の森に感動しての素晴らしい山行でした。 【山 域】(台高)吉野川水系北股川源流から池木屋山 【場 所】奈良県南部 【日 時】2002年 10月13日(日) 【コース】北股川林道カクダ谷出合→北股川本谷→池木屋山、下山は往路を戻る。 【参加者】TM、oba (2名) 【天 気】晴れ
ここから、北股川本谷までの降り口がよくわからずかなりウロウロと探しまわったが、よくわからないので、杣道とも獣道ともつかない踏み跡をたどって強引に五郎平谷に降り、五郎平谷を少し下ったら対岸に杣道があったのでそれをたどったら北股川本谷に降りることができた。北股川本谷遡行開始8時50分。 朝日が差し込んで神秘的な景観の北股川の流れを淡々と進む。谷はたいした変化もなく右にクズレ谷を分け、小滝を簡単に越えて前進。周りは潤い豊かなブナ、ミズナラ、栃の木等の自然林に覆われほんとうに身も心も清められるようだ。
休憩後一番右の谷に入りしばらくで2段10m滝。ここからがこの谷の核心部といえば核心部になるのか?2段10m滝は左岸側に明瞭な巻き道があり簡単に通過。大きな枝谷を左に分けるとすぐに10m滝がお出まし。水量が少なめなのかあまり迫力のない滝だった。この滝は左岸にトラロープがかかっていてそれを使って登る。 10m滝のすぐ上で谷は二俣になっており左の谷にはいると5〜7mの滝が連続して出てくるようになる。夏であれば滝の飛沫を浴びての直登も楽しげであるが、今日はなるべく濡れないように巻き気味に登る。6m滝の左壁を簡単に登るとこの谷の核心部もおしまいか、すぐに水量も少なくなり若干拍子抜けの気分で進むと、谷が二つに分かれる。ここは右手の谷が池木屋山に突き上げているようなので右を選択。 すぐに谷の水が切れガレ谷になってきてまた谷が二つに分かれる。ここで二俣の間の尾根に乗りそのまま直登。だんだんと傾斜がきつくなりやがて笹の原の急斜面になる。沢靴での笹の原の登りは滑って登りにくいことこの上ないが強引に直登を続ける。周りの豊かなブナの森の色付き始めた景観が急登の苦しさを和らげてくれる。この詰めの登りが、まだかまだかと登り続けてもなかなか稜線らしきものが見えてこなくてほんとうに苦しかった。 喘ぎ登り続けるとやがて上方に稜線のスカイラインらしきものが見えてきて、幾分傾斜も緩い右手方向にトラバース気味に登り続けてついに稜線にたどり着く。11時45分。
頂上では何人もの登山者が休憩していた。我々もヤレヤレとザックを下ろして大休止。と、向かい側で休憩していた女性から、「obaさん?」と声をかけられたので、よく見れば囲炉裏村の人達の見覚えのあるお顔。聞けば囲炉裏村の5人グループで宮の谷ルートから登ってこられたそうだ。皆さん、どうも大変失礼しました。またどこかでお会いしたときはまたお気軽にお声をかけて下さい。 池木屋山頂上付近も周りは豊かなブナの森に囲まれほんとうに気持ちが良い。同行のTM氏は、重いのを我慢して担いできた1眼レフカメラで盛んにシャッターを押していた。ほんとうにこれだけ見事な森はどこを切り取っても絵になる風景だ。 気持ちのよい頂上でいつまでものんびりしていたい気持ちであるが、下山も登りのルートをたどって戻らなければならないので、名残惜しいが下山開始。12時50分。 下山ルートは往路をそのまま忠実にたどり、途中でのんびりとコーヒータイムを設けたりして、さしたる苦労もなく杣道から北股川本谷への下降点に到着。15時10分。
先週の馬ノ鞍峰に続き、台高のまさに秘境ともいうべき豊かな静寂の森に感動した今日の山行であった。北股川源流から池木屋山へのルートは、沢登りとしてはもうひとつ面白味には欠けるが、それを差し引いてもあまりある、身も心も洗い清められるような豊かな森に出会える素晴らしいコースであった。 END |