南葛城山直登ルートを登る

南葛城山(922m)は和泉山脈の最高峰にもかかわらず、和泉山脈のメインルートから外れているせいか、千石谷を挟んで対面にある岩湧山の人気に比べて登る人も極めて少ない不遇の山である。しかし私にとっては、北面の千石谷側のサカモギ谷、クレン谷等での沢歩きトレーニングや、千石谷での家族連れキャンプ等で、かつては何度も周辺で遊ばせてもらった思い出深い山である。
昭文社エアリアマップ「金剛山・岩湧山」の最新版で千石谷から南葛城山に直登するルートがあることを最近知り、これは登ってみなくてはと思っていたが、ネットで検索する等しても情報は皆無で、唯一「はこふぐさん」が最近に登った記録を見つけた。容易に登れそうなルートなので今日思い立って行ってみることにした。

【山域】 (和泉山脈)南葛城山(922m)
【場所】 大阪府・和歌山県境
【日時】 2002年 6月 8日(土)
【コース】 滝畑→千石谷大滝→南葛城山直登ルート→南葛城山
→ノゾキ平→関電道→千石谷→滝畑
【メンバー】 oba (単独)
【天気】 晴

ルート概要図はこちら


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6/8
■行動時間
08:40 駐車場発  09:00 岩湧山滝畑登山口  09:50 千石谷大滝
10:10 直登ルート分岐  10:45 801mピーク  11:20 鏡の宿  11:25 南葛城山頂上
12:30 鏡の宿発  13:30 関電72番鉄塔  13:55 千石谷林道  14:45 駐車場着


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滝畑ダム湖の風景
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千石谷の流れ
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林道から千石谷大滝が
見える
朝家を出て車で滝畑に向かう。滝畑ダム湖に架かる夕月橋手前の道路脇駐車スペースに車を置き、岩湧山登山口まで車道を歩き、登山口から千石谷林道を経て千石谷大滝に到着。

少しの休憩の後、大滝からすぐの所にある立木に付けられた赤テープの目印の所で谷を飛び石伝いに渡り対岸の踏み跡を登る。しばらくは杉林の中の胸を突く急登の連続。踏み跡はよく踏まれており、テープの目印もあるので迷う心配は無いが、所々崩れているところもあり注意が必要。20分ほど登って標高650mを過ぎたあたりでやっと傾斜が緩くなってきた。このあたりから人工林と自然林が混じり合うようになり踏み跡も所々不明瞭になるが、尾根をとにかく忠実に登るだけなので適当に登り続ける。

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杉林の中の急登
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伐採地から望む
三国山方面の山並
標高800mを過ぎ801mピークへ到着、突然あたりが開けて展望が一気に開け、尾根の西側が伐採されていて木がほとんど無くなっている所に出た。最近頂上付近で大規模な伐採があったという新聞記事があったが、どうやらここのことであるようだ。おかげで展望は抜群で、三国山、槇尾山方面がよく見える。

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冴えない南葛城山頂上
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杉の老木が立つ
鏡の宿
更に尾根を登り続けると、やがて南葛城山の象徴である真っ直ぐに伸びた杉の木と笹の原が現れてきて、クマザサの原をかき分け進むと、ひょっこりと鏡の宿の祠の裏手に出た。鏡の宿の祠は、2年前に来たときはボロボロであったが、最近立て替えられたようで真新しくなっていた。ここから縦走路を右手にとり少々の歩きで南葛城山頂上に着く。

頂上では登山者が一人休憩していた。展望も全くなく、本当に和泉山脈の最高峰にしては冴えない頂上だ。写真だけ撮って鏡の宿まで戻りここで大休止とする。お湯を沸かしお握りとスープで腹ごしらえ。コーヒーも飲んだりして、お天気もよいのでゆっくりと休憩。

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童話に出てくるような
雰囲気に満ちた風景
ゆっくり休憩した後、下山ルートはノゾキ平を経て関電道とすることにして出発。途中右手が削ぎ落ちたサカモギ谷の頭を通過、痩せ尾根を経て自然林の尾根道を淡々と進むとノゾキ平に到着。ここから右手の急坂をどんどん下ると関電72番鉄塔に着きここで一息入れる。正面に上山の堂々たる姿がよく望める。

ここからは、雑木林の中の転げ落ちそうな急傾斜の階段道を下り、千石谷の流れが見えてきて小橋を渡り千石谷林道に降り立った。千石谷林道からは、滝畑の行楽客の喧噪の中を歩くのがいやだったので、岩湧山登山口には降りずに林道をそのまま直進、東ノ村を経て車道を歩き夕月橋を渡り車の所に戻った。

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下山途中岩湧山を望む
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72番鉄塔から望む
上山の堂々とした姿
南葛城山は何度も登っているが、いつ来てもほとんど人に会わず誰もいない静かな雰囲気がとてもいい。今日も出会ったのは結局頂上で出会った登山者一人のみであった。頂上付近の杉の木と笹の原が広がる風景は、まるで宮沢賢治の童話にでも出てくるような不思議な雰囲気に満ちた風景で心が落ち着く。

今日歩いた直登ルートから南葛城山を経て関電道を下る周回コースは、結構歩き応えのあるコースだが、他人がいっぱい歩いた道を辿るだけに飽きて静かな山歩きが楽しみたい人にはお薦めのコースだ。ちょっと今頃は季節的には暑すぎるようだが、今度は秋の落ち着いた時期にまた来てみたいと思わずにはいられない山歩きに満足の一日だった。

END