滝と釜の饗宴、堂倉谷遡行 |
大杉谷の本流と目される堂倉谷は、大台周辺ではやはり代表的な谷なので一度は行っておかなくてはと思っていたところ、タイミング良くメンバーが集まり参加させてもらうことになりました。台風14号の動きでお天気がどうなるか直前までヤキモキしましたが、台風一過の最高のお天気の元、滝と釜の饗宴に酔いしれた素晴らしい谷遡行が楽しめました
(サムネイル画像をクリックすると拡大画像が表示されます。) (写真の一部は、Taqさん提供のものを使用させていただきました。) 9/14 前夜、大台ヶ原ドライブウェイ途中の東屋で朝まで仮眠後大台ヶ原駐車場に到着。連休とあって朝早くから既に駐車場は満杯状態。準備をして8時に出発。日出ヶ岳を経て大杉谷登山道をひたすら下り堂倉滝前に10時50分到着。若干水量が少な目なようだが、これからの谷遡行の入口にふさわしい堂々とした堂倉滝を見ながらゆっくりと休憩、腹ごしらえをする。
休憩後ハーネスを着けヘルメットを被り気合いを入れて出発。吊り橋を渡り道をしばらく進み次の吊り橋の手前右手に上に登る階段道があり、それを登ると作業小屋跡のような台地に出た。その裏手のモノレールに沿って少し進むと、ガレた急斜面にロープが掛けてあったのでそれを頼りに下降して堂倉滝上の谷床に降り立つ。 瀬滝が流れるはるか向こうに前衛滝を従えたかなりの大きさの滝の姿が望め、それらが日の光でキラキラと光り素晴らしい景観を作っていた。水量が多いと苦労するであろう徒渉も難なくこなし大きな釜を持った10mの幅広滝の前に立つ。その上にはこの谷最大の扇状30m滝。素晴らしい。この景観を見るだけでここまで来た価値があろうというものだ。釜の右手をへつり、最後はついに観念して泳いで10m滝の右壁基部に取り付き上に這い上がった。10m滝の右側を登り、その上の30m滝は左岸側を大きく巻き登る。
我々も本日の行動はこれにて終了、ザックを下ろしテントを設営、薪を集め野営の準備をする。焚き火が燃え上がり、小山伏さん特製の逸品を摘みながら酒を飲み、たこやきさんの用意した豚汁で腹を満たし、空は満天の星に天の川、もうこれ以上何を望もうか。焚き火を囲みながらのよもやま話もまた楽し、で、最高の谷中泊の夜も深々と更けていくのであった。 9/15
15m斜瀑は右岸側の樹林の中を巻き上がりその上をしばらく進むと突然目の前に無粋なコンクリート造りの堰堤が現れる。ここは右岸側を大きく巻いて上の河原に降り立つとすぐに林道が頭上を横切っているのが見えてくる。ここで一旦林道まで這い上がり、林道をしばらく歩いたところで再び谷に降りて進む。ここからは単調な河原歩きが延々と続き、二つ目の堰堤を越えて進み、いいかげん河原歩きに飽きてくると徐々に谷が狭まり小滝も現れるようになってきた。
1058mの二俣で左の本谷に入り、両岸が狭まったちょっとした廊下を通過するとしばらくで石楠花谷出合。ちょうどお昼頃なのでここで休憩して腹ごしらえ。休憩後いよいよ上流部の連瀑帯に入っていく。小滝を超えてしばらく進むとやがて両岸が立つようになってきてゴルジュの様相を呈してくる。岩間を流れ落ちる連瀑を次々とこなしていくとついにお出まし、3段25m滝、2段20m滝と一気に高度を上げる滝場が続く。2カ所で慎重を期し小山伏さんがトップで登りザイル確保で一人ずつ直登。 だいぶ水量も少なくなってきたがまだまだ連瀑帯は続く。両岸が極端に狭まった多段滝では、トップのTaqさんが最後の落ち口の岩を乗り越すのに苦労している。残置スリングがそこに見えているのだが向こうを向いていて手が届かない。見かねた小山伏さんが左の壁を強引に這い上がって上から残置スリングをこちらへ垂らしTaqさんはなんとか突破。obaが続いたが、足を置くのもやっとの細いバンドを横へジリジリと壁から身体が離されそうになるのを必死で堪えながら進み、最後の所を残置スリングをつかんで強引に身体を引き上げた。最後のたこやきさんもかなり苦労していたがスリングを繋ぎ足してなんとか突破。
この上で谷は右手にカーブして傾斜も緩くなり、滝も出てくるがそれほど苦労もなく登ることができ、やがてナメ滝が現れてきて連瀑帯もいよいよおしまい。水も細くなり滝らしい滝もなくなってきていつしか水も切れ最後の詰めとなる。水の無くなった谷を忠実に詰め、最後は原生林が大きく広がった斜面を登り続けるとどうやら正木ヶ原の一部と思われる平坦地に登り詰めた。
心配だったお天気も、2日間ともこれ以上望みようが無いというような最高のお天気で、堂倉谷の噂に違わぬ素晴らしい滝と釜の饗宴、それに野営地での満天の星の下での焚き火宴会、久しぶりに何もかもが大満足の山行でした。同行の皆様方、ほんとうにありがとうございました。 たこやきさんの堂倉谷レポートはこちらです。 END |