谷中ほとんどが滝、戸倉谷 |
台高北部、明神平付近に源を発し吉野川に注ぐ中奥川、その中奥川上流部にある戸倉谷は、地形図に名前も載っていないような小谷ですが、短い水平距離の中を急傾斜で一気に駆け上がる、谷中のほとんどが滝と言っても過言でないような特異な谷です。ここは昨年にも、囲炉裏村のクライマーclifさんと一緒に遡行していますが、その時は初めてだったこともあって谷をよく観察することもできず、またルートミスでいい所を大きく巻きすぎた、ということもあったのでぜひもう一度行きたいと思っていました。今回はタイミングよく沢雪山歩の沢の精鋭が集結、私も仲間に加えてもらって戸倉谷の全貌を明らかにするべく勇んで出発となりました。
(サムネイル画像をクリックすると拡大画像が表示されます。) (写真の一部は、Taqさん、BAKUさん提供のものを使用させていただきました。) 9/28 前夜杉の湯に集合、秘密基地で小宴会の後就寝、朝準備をして戸倉谷出合に着く。メンバーの日頃の行いが良いおかげで今日も文句なしの快晴。しかしあたりはすっかり秋の気配で、水に濡れるのは少々寒そうだが、気合いを入れて遡行開始。7時50分。
すぐに最初の大滝25mが出現。ここは右岸を滝の落ち口まで巻き上がる。横へトラバースする所はかなり悪いので念のためザイルをフィックスする。25m滝上すぐに20m滝。水量が少なければ滝身の右手クラックが直登できそうだが、今日は水量多くちょっと無理。左岸の薮付の岩稜をBAKUさんがトップで登りザイルを固定、後続が続いた。ここは高度感があるが、ホールドになる立木が多くあり見た目よりは簡単に登れる。たこやきさんが登る番の時にえらく時間がかかっているのでどうしたのかと心配したが、途中でランニングビレー用のカラビナがザックに引っかかってしまい、それを外すのにもがいていたと後で聞いて一同皆大笑い。
連瀑帯を過ぎてしばらくで谷は広くなり2段30mの堂々たる滝が出現。この滝は見た目は両岸が立ちちょっと手が出そうにないように見える。前回の時は左岸の枝谷から大きく巻いて登ったが、この巻きがまたとてつもなく悪かった記憶がある。どこへルートを取るのかと思案していたら、トップのMOGUさんがスルスルと滝の右を登り、中央のバンドを瀑水を浴びながら滝の左手へトラバース。
この上で谷が右に曲がり、曲がった所に優美な2条15mのスラブ滝。ここまで人数が6名と多い割には快調なペースで来ているのでコンロを出してコーヒータイム。休憩後、BAKUさんがトップでスラブ滝を登りザイル確保でたこやきさん、MOGUさんはスラブ滝を直登して遊ぶ。二条滝の間の草付き岩壁は簡単に登れそうに見えたので、Taqさん、KUROさん、obaはノーザイルで上まで登った。 スラブの終点に10m滝。右岸には屏風のような壁がそそり立ち圧倒される。ここは左岸の薮付き泥壁をTaqさんがトップでルート工作、ザイルをフィックス、後続が続いた。この巻きはボロボロ岩に笹藪ブッシュというホールドしかなく、かなり渋い巻きであった。
ここでお昼も回っていたので遡行を終了することにして、左手ルンゼをしばらく登り左へトラバース、吊り橋のたもとに出て吊り橋を渡り、少し先で河原に降りて大休止。腹ごしらえした後、吊り橋まで戻り、そこから続く杣道を下山した。この下山道は、途中の崩れたガレ場のトラバース、腐った桟橋の下降等で結構楽しませてくれるが、1時間程で中奥川の河原に降り立つことができた。14時25分。
今日の戸倉谷は先週の大雨のためかちょっと水量が多くて直登できない滝もあったが、それでも滝登り、渋い高巻き等、短い谷にもかかわらず内容豊富でほんとうにたっぷりと遊ばせてくれた。昨年来た時とはまた違った登り方ができて、何度来ても飽きることのない沢登りのトレーニングには絶好の谷であることを改めて再確認できた。皆様、また水量の少なめな時にでも滝登りに出かけられる折には小生もお誘いくださいませ。 KUROさんの戸倉谷レポートはこちらです。 END |