齢110歳コンビの蟻之腰谷 |
十津川村の湯泉地温泉の近くに蟻之腰(アリノコシ)谷という名の小さい谷がある。中庄谷さんの「関西の谷」によればゴルジュが発達し、こんなところにと驚くような悪相の谷、と書いてあるので、こりゃ面白そうだと物好きな齢110歳コンビのオッチャン2名で行ってきました。
7/25 アリノコシ谷出合手前の湯之谷出合で道路が通行止めだったので、ここで車を停めて出合まで歩いて入渓。入渓いきなりで薄暗いゴルジュ。行けそうだとTaqさんは先へ行ったが、obaはあっさりと右岸を巻いてゴルジュの上に出る。下を見れば、Taqさんが最後の滝で難儀しているのでザイルを下ろす。いろいろとやってみたがTaqさんついにギブアップ。結局ここは巻くことに。
しばらく行くと2番目のゴルジュ。目の前に20m滝が立ちはだかり、その上はどうなっているか全くわからない。一目見てこりゃだめだと2人あっさりと悟り、右手のガレガレのルンゼから巻きにかかる。 この巻きがとてつもなく悪かった。ルンゼから左手尾根に登るのにアンザイレンし、頼りない木の根、立木をつかんでなんとか尾根上に這い上がる。尾根に出ればなんと立派な杣道に遭遇。小屋掛けの跡まであり、これはいったいなんだあ、と思いながら道をたどり、ゴルジュの端と思われるところで再び谷床に降りる。
小滝、ミニゴルジュをいくつか越えて進むと一旦伏流となり水がなくなってしまう。更に登ると再び水流が現れ、やがて5〜8mのいくつかの滝を連ねる3番目のゴルジュ。水量が少ないから行けそうだ、とよせばよいのにゴルジュに突入。 最初の8m斜瀑は、左のツルツル壁を、壁から剥がされそうになるのを必死でこらえてヘツリなんとかクリア。2番目の6m滝は流木を足掛かりにして割と容易に登るが、最後の井戸の底のような8m滝でついに行き詰まってしまう。 いろいろと思案の結果、滝身の右手のチムニー状壁しかルートはない、ということでTaqさんがトップで登る。チムニーが狭いので途中でザックを置き空身でなんとか這いずり上がり後でザックを吊り上げる。上からザイルを下ろしてもらいobaも必死でなんとか登る。さっきのきわどいヘツリといい、このイヤらしい登りといい、ほんとうに心臓に悪い登りだった。 ゴルジュの上は極端に水量が少なくなりガレ谷の様相を呈してくる。空では先ほどから雷ゴロゴロだし、この上ガレ谷が続くだけなので、ここらで早めに下山した方が良さそうと、谷が三俣になっているところで遡行を切り上げ谷を戻ることにする。
さっきのゴルジュはどうやって降りようかと思いながら、ゴルジュ手前で左斜面に取り付いて、谷に沿ったかすかな踏み跡をたどっていくとやがてはっきりとした踏み跡になり、いつのまにか立派な杣道が出てきて、この道をたどっていったら、なんとドンピシャリ湯之谷出合の車の所に出てきた。 アリノコシ谷は、ネットで検索するなどしてもほとんど記録が見られないのですが、なるほど小さいながらもゴルジュの発達した、好き者の人には日帰りでけっこう楽しめる谷です。今回は水量がかなり少なかったので割と容易に登れましたが、水量があればかなり苦労することと思われます。しかし、大峰のこの辺の小さい谷特有のくら〜い雰囲気で開放感にはどうも欠けるのは仕方ないか。 END |