薬師岳から黒部源流を経て新穂高へスキー縦走


北アルプスの薬師岳から北ノ俣岳、黒部五郎岳、三俣蓮華岳、双六岳を経て新穂高へ至るルートは、立山から槍ヶ岳へ至る所謂「日本のオートルート」の核心部としてGW頃に多くの山スキーヤーにトレースされている。しかし、稜線通しに行くのはスキールートとしてはもうひとつ面白味に欠ける。ここはやはり、途中の谷を滑り降り、次のコルへ直登し、コルの反対側の谷をまた滑り降り、と、谷からコルへと繋いでスキーの機動力を駆使して駆け抜けるルートこそが「日本のオートルート」の名にふさわしい。
この薬師岳から黒部源流を経て新穂高へ至る痛快なスキー縦走にチャレンジ、好天に恵まれて計画通りのコースを走破できた。
今回のメンバーは、3月の飛騨沢の時と同じ強力4人のメンバー、それに、アラスカ・デナリ(マッキンレー)のボード滑降の記録もある高山在住の新進気鋭の山岳ガイド、NIさんがプライベート山行として、新型分割式スノーボードを持って参加、総勢5名のツアーとなった。
(太郎平小屋までのアプローチは割愛、レポートは太郎平小屋からとなっていることを御容赦下さい。)


■ コース概要
□ 2001/05/04  太郎平小屋から薬師岳往復  太郎平小屋(泊)
□ 2001/05/05  太郎平小屋→黒部五郎の肩→黒部五郎カールから五郎沢を滑降→黒部源流→三俣分岐→三俣山荘→弥助沢滑降→モミ沢出合(幕営)
□ 2001/05/06  モミ沢出合→双六小屋→双六谷滑降→大ノマ分岐→大ノマ乗越→左俣谷→新穂高

ルート概要図はこちら

■参加者
・oba (TRAB PUMA DRIVE + FRITSCHI DIAMIR + NORDICA TR9)
・TM (TUASKI EXCALIBUR + FRITSCHI DIAMIR + NORDICA TR9)
・Iさん (TUASKI EXCALIBUR MX + FRITSCHI DIAMIR + NORDICA TR12)
・Hさん (FISCHER TOUR CAP + FRITSCHI DIAMIR + NORDICA TR12)
・NIさん (BURTON製新型分割式スノーボード)

5/4  太郎平小屋から薬師岳(2926m)往復


行動時間
09:00 太郎平小屋    10:30 薬師岳山荘    11:50 薬師岳登頂    13:50 太郎平小屋に戻る

天気は快晴、太郎平小屋前からシールを装着しダラダラ斜面をしばらく歩き、薬師峠へ少し下り、だんだんと傾斜がきつくなった斜面をシール登高する。分割式スノーボードで参加のNIさんも、分割したボードに超幅広シールを貼り付けて登高を続ける。

まだ雪が緩んでいなくて固いのでクトー(スキーアイゼン)を装着、ところがここでアクシデント発生。クトーを装着しようとしたHさんが誤って片方のクトーを落とし、落としたクトーはそのまま斜面を滑っていってしまう。仕方なくHさんはそのまま片方のクトーだけで登らざるを得なくなる。

薬師岳山荘で一息入れたあと、上部急斜面をHさんはスキーを、NIさんはボードを担いで登る。あとの3名はそのままシール、クトーで登り続ける。多くの登山者は薬師岳山荘にスキーをデポして登っていて、スキーで上部斜面を登っているのは我々だけだ。

しつこくシール登高を続け、薬師岳頂上までスキーで登り切った。休憩のあとNIさんが金作谷カールを一滑りするなどして遊んだあと、小屋まで滑降開始。上部岩稜帯は西側斜面をトラバース気味に滑降、山荘上の斜面から稜線沿いに滑り降りる。途中、IさんとHさんが落としたクトーを探しにクトーが落ちていった谷を少し下降。どうやらクトーが見つかったようで、よかったよかった。

気温が上がりグサグサに腐った新雪(5/2に降雪があったようだ)に難儀しながら太郎平小屋に戻る。小屋では早々に宴会モードに入り、明日の長い行程に備えて充分の休養を取った。
(サムネイル画像をクリックすると拡大画像が表示されます。)
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目の前に薬師岳が
見える
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ボードもシールで登る
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遙か向こうには槍ヶ岳の
穂先が見える
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ボード、スキーを担いで
登る2人
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薬師岳登頂
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NIさんがボードで
金作谷カールを一滑り


【5/5  黒部五郎から黒部源流を経て弥助沢・モミ沢出合まで】  に続く