薙刀山&日岸山ワンデイラン

白山南方、越美国境付近石徹白周辺には、山スキー向きの山々が連なっていますが、野伏ヶ岳以外の山では、そのアプローチの悪さも手伝ってほとんど人に出会うこともなく、自分達だけの山スキーが楽しめます。昨シーズン薙刀山に登った時、目の前に、何処でも滑ることができそうな日岸山の広大な斜面を見てぜひ行ってみたいと思っていましたが、今回、薙刀山&日岸山を1日で駆け抜けようという計画を実行に移すことにしました。

【山 域】薙刀山(1647.2m)、日岸山(1669m)
【場 所】越美国境
【日 時】2003年 4月13日(日)
【コース】白山中居神社→和田山牧場跡→推高谷左俣横断→薙刀山→日岸山→薙刀山、この後は往路を戻る。
【参加者】N君、oba (2名)
【天 気】曇り後晴れ

4/13
■行動時間
6:15 白山中居神社    7:30 和田山牧場跡    10:35 薙刀山頂上    11:55 日岸山頂上
日岸山南東面滑降後大休止    13:30 薙刀山頂上    14:40 和田山牧場跡     16:00 白山中居神社


石徹白白山中居神社駐車場では、朝早くから何台もの登山者の車が往来し、今日の野伏ヶ岳方面ははかなりの賑わいの模様。今回はロングコースなので早めの時間に出発。和田山牧場跡までの林道は雪がかなり少なくなっており、下部ではスキーを担いで歩く。途中から雪が続くようになりシール歩行に切替え、林道を所々ショートカットして先行パーティーをほとんど追い越し、誰もいない和田山牧場跡に到着。


和田山牧場跡から見る薙刀山方面はガスの中

推高谷左俣左岸斜面の全層雪崩に肝を冷やす
一息入れた後、だだっ広い雪原を横断、野伏ヶ岳北東尾根の裾を巻くように登り、推高谷左俣上部で谷が完全に雪で埋まっている所で谷を横断、推高谷左俣の左岸尾根に取り付く。ここまで来る途中に、野伏ヶ岳北東尾根から推高谷左俣右岸に沿ってトラバースしていたら、対岸の斜面で全層雪崩が起きて黒々と地肌がむき出しになっている所を目撃、肝を冷やす。雪解けは予想以上に進行しているようだ。


ガスの中、コンパスで方向を見定め前進
お天気の回復はどうも遅れているようで、時々日は射すがすぐに曇ってガスに覆われどうもスッキリとしない空模様だ。視界が悪いので帰りのことを考えて所々に赤布を付けて進む。尾根に取り付いた所からは、単独の先行者がスキーで登ったトレースがあった。谷からすぐの急斜面を登り切ると傾斜が緩くなり薙刀山南東面の雪原状斜面(薙刀平)に到着。ここでは単独先行者がガスの晴れるのを待って休憩していた。先行者に声をかけて先へ進み、コンパスで薙刀山頂上の方向を見定め斜登高を続けると、ガスの中にかすかに主稜線の雪屁が見えてきた。雪屁の下を斜登高で登り、所々に口を開けているクレバスを避けながら薙刀山頂上の右手に回り込むようにして頂上直下の斜面に出てそのまま登り続け、誰もいない薙刀山頂上に登り着いた。

相変わらずガスは晴れず視界が悪い。これでは日岸山まで行くのは無理なのでゆっくり休憩してから往路を戻るしかないか、と思って行動食を食べていたら見る見るうちに空が明るくなりガスが晴れてきて目の前に日岸山の斜面が現れた。しばらく待っていたら空は完全に晴れに変わり、遠くの山々もはっきりと見えるようになってきた。これならいける、このチャンスを逃す手はない、とすぐにシールを剥がし日岸山へ向かう準備をしていると、後続の単独者が登ってきた。何処へ行くのかといぶかしがる単独者の視線を感じながら薙刀山の北東斜面に飛び込む。雪は絶好のザラメ雪。気持ちよくシュプールを刻み、途中で左手寄りに滑りなるべく日岸山との稜線付近のコルに近くになるように降りる。


ガスが晴れて日岸山の斜面が現れた

日岸山を登る途中、薙刀山の斜面を振り返る
最低鞍部でまたシールを付けて日岸山の斜面を登る。先ほどまでとはうって替わって今度は日差しがきつく暑い。頂上付近を目指して大斜登高を続け、傾斜が緩くなってきたら左に方向を変えてしばらく登ったら日岸山頂上だった。

日岸山頂上にて、別山をバックに
頂上では福井県側から登って来たという単独登山者が休憩していた。少し話をした後単独登山者は薙刀山へ向かうと下っていった。我々もその後、シールを剥がし、日岸山南東斜面を滑降、誰も滑っていない広大斜面にシュプールを刻みつける。上部は絶好ザラメ雪。高度を下げるほどに日差しに照らされて重くなったザラメ。しかし適度な傾斜の絶好斜面に大満足。

調子に乗ってあまり下まで行くと登り返しが大変なので適当なところで切り上げ、谷の底で大休止。休憩後、薙刀山頂上まで再度登り返し、ほぼ往路沿いに滑って和田山牧場跡に戻る。あまりにお天気がいいので雪原の大木の横で休憩、持参のビールで乾杯。見上げる野伏ヶ岳の正面ルンゼにはいくつものシュプールがあってかなりの賑わいであったことが伺えた。その後シールを着けて雪原を横断、林道を滑り、林道下部で雪が消えてからはスキーを担いで駐車場まで戻った。

日岸山の広大斜面を滑る(oba)

日岸山の広大斜面を滑る(N君)

薙刀山を滑る(N君)

和田山牧場跡の雪原を横断
今日は団体登山者等も多くいて、野伏ヶ岳方面は大賑わいであったようだが、薙刀山、日岸山ではほとんど人に会うこともなく、静かな自分たちだけの山スキーを楽しむことができた。日岸山は日帰りではなかなか行きにくい山だが、なんとか日帰りで走破できたし、薙刀山北東面、日岸山南東面の二つの絶好斜面を滑ることができて大満足の山行であった。

END